錦織圭のサーブを分析してみた【肩痛の原因とは】

 
週一プレーヤー
「錦織選手、肩を痛めちゃった・・・。

サーブがきっかけらしいけど、どうして痛めちゃったのかな?」
今回はこんなお悩みにお答えします。
本記事の内容
  • 2018年での変化
  • スイングは右上へ振りぬくべき
  • 錦織選手のこれからのサーブ
本記事の信頼性
理学療法士として6年間、都内のリハビリテーション病院にて脳卒中や整形外科のリハビリを担当してきました。
現在はテニスコーチとしても活動中。
得意分野は動作分析、皆様のお役に立てるようテニスと体の関係を探究していきます。

2020年10月、錦織選手は右肩の怪我を理由に2020年シーズンの終了を発表しました。
右手首、右肘と続いての怪我となりましたが、それまでのリハビリもしっかり重ねていたはず。

ではどうして右肩の痛みに繋がったのか。
今回はそんな疑問を紐解いていきます。

【錦織圭】2018年の変化

錦織選手は2018年に足を寄せないサーブフォームとなりました。
よく見ていくと足を寄せない以外にも変化した点がありました。

2015年と2019年のサーブ

2018年でのサーブ動画が無かったため2019年のものを見ていきます。

まずは2015年のサーブから。

続いて2019年のサーブ

2019年になって足をよせないフォームになりましたね。
これは腕の負担を減らすため?

具体的にどう変わったのか見ていきます。

広告

トロフィーポーズの肘

以前のトロフィーポーズでは両肩のラインよりも肘が下がっていました。
対して2019年では肘は下がらなくなりましたね。

肘が下がると、腕の上下動でもスイングするようになり腕は窮屈な状態に。
そのためスイングでの肩や肘の負担が増えます。

トロフィーポーズでのバランス

2019年では体の倒れこみが減っています。

左側へ倒れ込みながらのスイングは手打ちとなり、肩の負担が増えやすいです。
右足でも蹴りだせることで、下半身の力がスイングに伝わりやすくなります。

以上の2つが大きく変わったポイント。
しかしそれでも2020年には肩を痛めてしまいました。

じつは変われていない部分が残っていました。

変われていない点

腕と頭の距離が近い

錦織選手は首をかしげるようにボールを見ており、左腕と頭の距離も近いです。
そのためインパクトでは右腕と頭の距離が近くなっているとも考えられます。

首は肩と隣り合わせですから、首がかしげていると肩も力みやすくなります。
そのため肩の負担も増えやすいです。

両胸が開きすぎている

両胸が開きすぎると、ラケット面が上を向きやすくなります。
そうするとラケットが下がった時に右肩のひねり(外旋)を強いられて、スイングでの肩の負担が増えてしまいます。

インパクトまでは腕はリラックスしてスイングできることが理想です。

インパクトで手首が伸びている

サーブでは手首とラケットは120度曲がっていることが理想です。
しかし錦織選手は改良後もほぼ伸び切っています。

サーブは肩を支点にして打てた方が安定します。
手首が伸び切ってしまうとラケットは安定せず、肩の力を利用しづらいのです。

インパクト後でラケット面が伏せてしまう

インパクト後のラケットは下を向いています。
これも手首の力に頼っているため。

肩のひねり(プロネーション)が利用できればラケットは横を向けるはずです。

以上が2015年との比較です。
変わった点もありましたがまだ改善の余地はありそうですね。

 
では改善してほしいポイントをまとめていきます!

スイングは右上へ振りぬくべき

肩のひねりを利用するには肩だけでなく全身を使うことが大事。
スイング自体を変えるのは簡単なことではないのです。

今回はフェデラー選手を参考にして改善点を挙げていきます。

インパクトでの意識を変える

サーブを打つ時のボールの当たり方ってどうイメージしていますか?

こちらは両者ともデュースサイドからワイドへスライスサーブを打っている画像ですが、フェデラー選手のラケット面は横を向き、肩のひねりが効いていますね。

より遠くまでスイングしていく意識

錦織選手はボールを上から下へ振りぬく意識が強すぎるのかも。
人によってはその意識でも良いのですが、手首が折れるほどは意識が偏りすぎています。

より遠くまでスイングできれば肩のひねりも意識しやすいです。
フラットサーブの場合でもより前へボールを飛ばせるとスピードアップになるかもです。

トスアップ後の腕は体側に流すべき

錦織選手はトスしたボールを左腕より体側で見ています。
対してフェデラー選手は左腕を体の後ろへひねるため、ボールは左腕よりネット側で見ています。

トスアップ後の腕を体側へ流すメリットは3つほどあります。

  • 体(特に両肩甲骨)をより後ろへひねれる
  • 右腕を後ろへひいていても胸が窮屈でなくなる
  • 右足にも体重が乗りやすい

体全体を使ったスイングにはこのトスアップは理にかなっていると思います。

このトスアップはナダル選手やティーム選手も取り入れているので参考にしていきたいですね。

スタンスはネット方向を向くべき

最後はスタンスです。
フェデラー選手の方が両足の角度はネットに近い方向を向いています。

これは両足の角度がスイングの方向に近いということ。
しかし両足の角度がスイング方向に近づくことでどんなメリットがあるでしょうか?

それは右足の蹴り出しがスイングを加速させられるということ。
右足が蹴り出した方向にスイングができれば肩の負担も減らせます。

足をよせていたサーブに戻すのもあり

キリオス選手やイーズナー選手のようにビッグサーバーでも足をよせる選手は多いです。

  • 足をよせた方が上へ伸びあがりやすい
    →不安定となりやすい
  • よせない方がバランスを取りやすい
    →右足の蹴り出しを意識しづらい

ここは好みの部分でもありますので、錦織選手が打ちやすい方を選ぶと良いと思います。

※2021年復帰後は、足を寄せるフォームに戻しましたね。

錦織選手のこれからのサーブ

錦織選手はサーブを主体とするプレーではありません。
しかし30代となりストロークに頼ったプレーはこれから体力が厳しそう。

そのため錦織選手にはサーブの速度アップを目指して欲しいところです。

先ずはセカンドサーブの威力アップ

試合に勝ち続ける上で大事と言われるのがセカンドサービス時のポイント獲得率です。
2019年までの5年間の統計で、上位3位がフェデラー選手、ナダル選手、ジョコビッチ選手のBIG3なのです。

そのためセカンドサーブの威力の向上が大事と考えています。

お手本は鈴木貴男選手

ご存知の方も多いと思いますが、鈴木貴男選手はフェデラー選手をフルセットまで苦しめたこともある選手です。

サーブ&ボレーが主軸で、セカンドサーブでも威力は十分。
体格も錦織選手と大きく変わらない分参考にしてほしいサーブです。

相手に読ませないコース取り

セカンドサーブの威力が向上すれば、安心してファーストサーブが打てるようになり、コースも散らせやすくなるはず。

錦織選手はデュースサイドからワイドへのスライスサーブが特徴的でした。
そのスライスサーブの威力を増して、相手ボディへもセカンドサーブで狙えるとより攻撃の幅も増えるのではと考えています。

BIG3のようにセカンドサービスでも安定してポイントを獲得できれば、ランキング上位も狙っていけるのではと思います。

最後に

錦織選手のサーブについてでした。

フォームの修正で難しいのは理論だけでも難しいと感じる点です。

基礎的な筋力が必要なのか、ボールに対してのイメージを変えるべきなのか。
その人がすでに持っているイメージを変えすぎても良くないとも思います。

錦織選手もサーブの改良はすでに挑戦し続けているはず。
それでもまた高いレベルでプレーを楽しんでもらえる日を心から願っています。

本記事はここまでです。
ありがとうございました!

広告
>障害予防と技術向上を両立

障害予防と技術向上を両立

いつまでも大好きなテニスを楽しむために